『Nightingale -ナイチンゲール-』の自然豊かな世界で生き延びるには、さまざまな気象条件を乗り越え、幻獣たちと戦っていかねばならない。
多種多様な境域に現れる幻獣たちが土着の生物らしく見えるよう、開発元Inflexion Gamesは彼らの生態や習性を細かく考察し、ヨーロッパの民間伝承に着想を得て、ヴィクトリア朝風ガスランプファンタジーにふさわしい生物に作りあげてきた。
このゲームではプレイヤーが境域カードから新たな境域を生成できるが、気候や動植物相はそれぞれ大きく異なる。
見わたすかぎり砂漠が広がる世界もあれば、一面に沼が広がり岩の間に雑草が生い茂る水の豊かな世界もある。フェイ境域のさらなる奥地へ分け入れば、森に棲息する美しいエバーハート鹿や砂漠の危険なセルケト蠍といった生物にも遭遇することになる。
そうした経験はDiscordチャレンジへのスクリーンショット投稿という形でプレイヤーコミュニティに受け継がれた。中でもプレイヤーに人気の、通称「悪魔の鹿」ことカルヌートは、3人のチャレンジ入賞作の題材になっている。
Level Infiniteはこうしたクリーチャーたちがコンセプトから最終デザインに至るまでの過程について、アートディレクターNeil Thompsonに話を伺った。
どのクリーチャーも驚くような姿をしていますが、着想はどこから?
一部のとりわけ特徴的なクリーチャーはヨーロッパの民間伝承をベースにしています。あまりSFの定番っぽいものにはしたくなかったからです。カルヌートなんかがいい例ですね。角を生やした精霊で、いかにも古の存在という感じでしょう。
ハーピーは古代神話を彷彿とさせるデザインにしました。本作では沼沢境域で狩りをするクリーチャーなのですが、長い歳月のあいだに進化して人間に擬態する能力を身につけたのです。非戦闘時は翼を体に巻きつけていて、ショールを羽織った老婆そっくりに見えますが……油断は禁物!
環境はクリーチャーの行動や能力にどう影響してくるのですか?
クリーチャーは生息環境に応じたふるまいをとるようになっています。水中で本領を発揮するものもいますし(ジャイアントフロッグなど)、バンダースナッチは起伏の激しい地形でも難なく動き回れる跳躍力を備えています。スパイダーやバウンドはそれほど特化されていませんが、どこに現れても非常に危険です。
どのクリーチャーにも「もっともらしさ」を持たせつつ、どこかしら現実にはありえない要素を入れるようにしています。そもそも境域は現実の地球ではないという事実を反映させるためです。
クリーチャーがコンセプトから最終実装に至るまでにはどのような過程があるのですか?
だいたいは、ある環境でそのクリーチャーをどう登場させ、どんな行動をとらせようかとブレインストーミングをするところから始めます。この段階で「だったらこんな外見をしているはずでは」というアイデアが出てくることが多いですね。
そこからがコンセプトアート段階で、ラフスケッチから徐々に具体案を固めていきます。最終デザインが決まったら、キャラクターアートチームが3Dモデルを起こし、テクニカルアニメーターがリグを入れます――平たくいうと骨格ですね。その後はアニメーターがクリーチャーゲームプレイデザイナーと細かく打ち合わせながら動きをつけていきます。
クリーチャーの現実味とファンタジーらしさのバランスはどのように決めていますか?
どのクリーチャーにも「もっともらしさ」を持たせつつ、どこかしら現実にはありえない要素を入れるようにしています。そもそも境域は現実の地球ではないという事実を反映させるためです。リアルな生物にはありえない色とか、異常に大きな角とかですね。完全に「リアル」にはならないように。
カルヌートはよく「悪魔の鹿」とも呼ばれていますね。他にも二つ名を持つクリーチャーは存在しますか?
クリーチャーは正式名称が決まるまで、とりあえずのニックネームを付けることが多いんです。私はボージャムを「イシュマエル」と呼んでいました。もともとそういう名前だったんです。『白鯨』の主人公からとりました。境域トラベラーとボスクリーチャーの永遠の戦いからの連想です。バンダースナッチはずっと「ラビトル」と呼ばれてました。ウサギ(ラビット)とヴェロキラプトルを掛け合わせたような見かけだったので。
ここでご紹介したような美しいキャラクター、クリーチャー、環境デザインが実際にゲーム内でどのように実装されているかは、ぜひ『Nightingale -ナイチンゲール-』を実際にプレイしてご覧いただきたい。現在SteamおよびEpic Games Storeで配信中だ。