ゲームプレイに強い物語性を根付かせることで知られるスタジオYAGERは、常にゲームにおけるストーリーテリングを重視してきた。『Spec Ops: The Line』がプレイヤーの共感を得た理由は明⽩で、戦争の悲惨さを描くことで強いメッセージを発していたからだ。しかし『The Cycle: Frontier』で開発チームは、また新たなストーリーテリングに挑戦し、今回はプレイヤーがより⼤きな役割を担うことになる。
「我々は元々ソーシャル創発的ゲームプレイのゲームを作るというアイデアからスタートした。プレイヤーはプランを持って地表に降り立ち、様々なことが起こって、予期せず当初のプランを変更する、というゲームプレイのことだ」と本作のエグゼクティブ・プロデューサー、ジョナサン・リンゼイは語る。
「それは我々が本当に成し遂げたかったことなんだ。単にプレイに説得力があるというだけではなく、ドラマチックで見応えがある。それを緊張の不確実性と呼んでいる。優れたサスペンス映画やスリラー映画は本当はこういうものなのだ。そのためにはゲームが⼗分な変数を持つことが必要だ。加えて予測不可能でなければならない。かつ、ある程度の予測可能性も必要だ。だからプレイヤーはプランを⽴てることができる。そのプランが失敗する可能性を持たせることも重要だ」
『The Cycle: Frontier』では物事がスムーズにいかないからこそ、どの戦いも無限にリプレイできる。プレイヤーが資源を漁っているところを他者に偶然発⾒され、PvPに発展することもあるだろう。また新規プレイヤーがボスを倒すために必要な助っ⼈になるかもしれない。可能性は様々なところに転がっていてプレイヤーが見つけ出し経験するのだ。
YAGERのゲーム体験は変わっていない。「常にシューティングがテーマだった」とリンジーは語っているが、今回は「ドラマがぎっしり詰まった」「一か八か」の「ソーシャル創発的ゲームプレイ」を提供する。これは『The Cycle: Frontier』でこのジャンルに一石を投じようとしている開発スタジオの当面の方向性なのだ。
「我々は⼩規模なスタジオだし、巨大なAAAゲーム制作ではなく1000⼈あるいは500⼈規模のニッチなマーケットを埋められる存在を目指してきた。それを可能にする本当に素晴らしい才能がたくさん集まっていると思っている。まだ⼗分に開拓されていないニッチな分野や、もう少しクリエイティブでリスクがあるような分野に⽬を向けることの⽅が重要だったんだ。我々はいわゆる⼩規模な制作スタジオだから機会を狙っていくことができる。YAGERは⾰新を望むスタジオだと考えている」とリンゼイは言う。
テンセントとのパートナーシップは、開発者が「適切なリスクを負う」ことを可能にすると同時に、YAGERがテンセント傘下の他のスタジオとつながり、マルチプレイヤーシューティングの分野で知識を共有できるようにしてくれた。『The Cycle: Frontier』はリリースしてまだ⽇が浅いが、YAGER内に綿々と続く⾎統は惑星フォルトゥナIIIだけでなく、本作に携わるすべての⼈にとっても明るい未来を指し⽰している。